東大に落ちた話
2020年3月10日12時、俺は東大に落ちた。
親に高い学費を払わせたくないと言う理由と、医師以外の医学的な専門知識を生かした職業も視野に入れたいと言う理由から理Ⅲ以外に私立大は受けず、国立後期試験を除いて併願校はなかったのでほぼ浪人が確定した。
様々な理由から理Ⅲを志すようになった高2の初夏の日から、理Ⅲを目指す人間の中では遅い方だったが勉学に励んできた。でもそう簡単に受からせてはくれないようだ。
離島での医療に携わりたいと言う気持ちもあり後期は琉球大学の医学部に出願した。しかし、自分一人で医師の地域偏在の解消に貢献できるなんて考えは傲慢であると言うことを日に日に感じるようにもなった。
だから、ほぼ浪人することになったと書いた。
もちろん、医師でなくても、社会や他人のためになる仕事はたくさんある。医学部以外の大学の受験も視野に入れた。でも、後で自分の人生を振り返ったときに入試難易度が難しいからと言う理由で理Ⅲ受験から自分が逃げたという事実とそれに対する後悔があったら、どのような職を選んだとしても大きなことを成し遂げられるような人間にはなれないと思い、浪人を覚悟して理Ⅲを受けることにした。
だから今、落ちて悲しいと言うよりは、もう一年、やってやろうじゃないかと言う気持ちの方が強い。
でも流石に、母親から、「あんたはよくがんばったよ」という言葉をもらったときには泣かずにいられなかった。悲しかった。悔しかった。
今日から俺は、親に迷惑をかけるんだ、浪人するんだ。
そう思うと、涙が止まらなかった。
この涙は二度と流さない。